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Artist


Shihomi NISHIO / ヘアメイクアップアーティスト


"GRACE"

CONCEPT -コンセプト-

―今回の作品で表現しようと考えたことは何ですか?

2年前、私にとって母のような存在だった祖母が亡くなりました。当時、私はパリに住んでいて仕事が忙しくて葬儀にも駆けつけることが出来なかったのです。そのとき深い悲しみと同時に強い決意が生まれました。こんな大事なときでさえ自分はヘアメイクという仕事を選んだのだから、この仕事を一生続けていこう、そう思ったのです。今回の作品では、悲しみ、そしてそれに打ち勝って前へ進んでいく強さ、未来への希望といったそのときの気持ちの変化を表現したいと思いました。

祖母が好きだったトルコキキョウをキーイメージとして作品に絡め、トルコキキョウの花言葉である「優美」をテーマにしています。写真は、日本人ならではの感性が感じられ、なおかつ海外でも受け入れられるようなものにしたかったので絵画的な質感を狙いました。

リッドファンデーションやコンシーラーは、基本的に筆で塗るようにしているというNISHIOさん。「パリでたまにアシスタントとして付いていた人が筆で塗っているのをみて、初めはビックリしたのですが私も真似するようになりました。ちゃんと中まで入っていく感じがするし、クマでもきれいにカバーできます」

TECHNIC POINT -テクニックポイント-

―今回のコンセプトを作品に落とし込むうえでの具体的なテクニックを教えてください。

紫をベースに、気品が感じられる上品な作品を目指しました。青は悲しみ、赤は情熱やエネルギーといった具合に、それぞれの色が持つイメージによって、感情の変化を表現しています。

シャドウは、色を強くしたい部分はクリーム状のものをのせた上からパウダー状のものを重ねてのせ、それほど強く出したくない部分にはパウダー状のものだけをのせています。ポイントは色のグラデーション。かなり多色使いをしていますが、好きな色の組み合わせがある程度自分の中でパターン化しているので、ライティングのことも計算してどう発色するか考えながら使う色味や濃さを調節しています。また、きつい印象になるのを避けたかったので、アイラインには一切使っていません。
ノーズシャドウとチークも、特にこだわっている部分です。眉頭から鼻にかけての部分に茶色やゴールドで陰影をつけるのはとっても大事。それをするのとしないのとでは写真の印象がまったく変わってきます。最後の作品では、チークにブラウンを足しています。今回の狙いである絵画的な写真にするためにはこの頬骨の影がけっこう重要なポイントになるのです。

また最後の作品には、目を閉じるか下を見るかという前提だったので、目元だけで感情を表現しとうよ思いました。最初はリップにも色をのせていたのですが、視線が分散して伝えたいものが曖昧になる気がしたので、途中でリップをオフしました。この作品には祈りとともに感謝という意味も込めています。祖母に対してだけではなく、友人のデザイナーやカメラマンの小林さんなど、今回の作品で協力してもらったすべての方に心から感謝しています。