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Artist


稲垣 亮弐 / ヘアメイクアップアーティスト


"Black Book"

闇と光で描くアンリアリティ

CONCEPT -コンセプト-

─今回の作品で表現しようと考えたことは何ですか?

ルーベン・トレドというイラストレーターがいて、彼の作品がかなりアバンギャルドで面白いんです。ヘアやメーキャップ、洋服などに関してもあり得ない形のものがすごく多くて、それをなんとか写真で表現できないかなというのが着想の原点です。また、時代的にマットな黒やブラックアウトが旬なので、それとルーベン・トレドを融合させたら面白いものができるのではないかと思い、「Black Book」というテーマが生まれました。

今は写真もコンピュータでいろいろなことができるので、そこにさらにひねりを入れてアート系にもっていけたらということで、カメラマンのケイ・オガタさんと話し合いました。色を下手に入れると邪魔するかなと思い、あえて白と黒の世界と光だけで表現しています。リアル感のある要素は極力排除して、デッサンのような世界を狙いました。

TECHNIC POINT -テクニックポイント-

─今回のコンセプトを作品に落とし込むうえでの具体的なテクニックを教えてください。

メイクはそれほど凝ったことはしていなくて、白っぽいベースと黒のマットのアイシャドウのみというとてもシンプルなものです。シャドウの入れ方は昆虫っぽいというか、塗りつぶすような感覚で入れています。アイブロウがとても薄いモデルだったので、かなり大胆にアイシャドウを入れてもかっこいいかなと思いました。

ヘアもリアル感を消すために、異素材のアルミとワイヤーを使いました。ツヤのないアルミをいろいろ変形させて、表面の凸凹で油絵のような質感が出せたらいいなと思いました。ヘアというよりも、どちらかというと帽子を作るような感覚ですね。カバーの作品は、実は唇もアルミで作っています。これも現場でたまたま思いついたアイデアで、唇がアルミだったら面白いかなと思って作ってみました。ワイヤーは、最初は骨組みにしてアルミをかぶせるつもりだったのですが、ヘアにボリューム感のある作品がすでにあったので、一つはワイヤーだけにしました。ワイヤーだとハイライトの当たる一つひとつの面積が小さいので、光が細かく散りばめられたような感じで、アルミとはまた違った面白さが出たと思います。

コラボレーション
カメラマンのケイ・オガタさん(中央)、スタイリストの斉藤伸子さん(左)と互いに意見を出し合いながら求めるイメージを具現化していく。本物のプロ同士のキャッチボールは小気味よいほどスムーズだ。

異素材
今回、稲垣さんがヘアの素材に選んだのは"アルミ"。「写真をいかにイラストっぽく見せるかが狙いだったので、あえて異質な素材を使ってみました」

アイデア
写真をチェックしながらなにやら手元を動かしていると思ったら、いつの間にか出来上がっていたアルミの唇。「こんなふうに(撮影を)やりながらアイデアが出てくることが多いんです」